令和元年のコンサートつれづれー続

 でもやっぱりコンサートはスカッと、たまには管弦楽を聴きたいものです。渇いたのどにコーラで身体を潤すように。

 そこで昨年令和元年の一押しは、A・ギルバート指揮/都響によるマーラーの交響曲第6番でした。大型台風も去り中米貿易摩擦とか世界の政情も不安定の中…スカッとしました。

 測り知れない都響の音量と飛び跳ねる指揮者のパフォーマンスが、まるで地球を相手に闘っているが如く・・・サントリーホールの2階R席の左から右へと音の波が疾風のように流れ、時にオゾンのように渦巻き、時に虹のように~いろいろな色彩を発光し、人生そのものを体現しているかのように感じました。これぞ、大オーケストレーションの醍醐味でした。

 そしてもう一つ、スカッとして、身が引き締まる管弦楽の醍醐味と絶妙なアンサンブルを聴かせてくれたのが、M・ヤノフスキ指揮/ケルン放送交響楽団によるシューベルトの交響曲第8番≪グレイト≫でした。

 永~く続くメロディとリズムの連続を一糸乱れず奏でる弦のアンサンブルは、やっぱり本場ものーで見事なもの。ドイツのあるいはオーストリアの国歌のように謳われていました。健脚者が一歩一歩アルプス越えするかのように・・・

 また、この大曲はシューベルトの死後10年後に初演されたと言われ、あの第7番≪未完成≫は何と40年後の初演だったそうです。19世紀末のヨーロッパでワーグナーやブラームスが活躍していた頃に、シューベルトの名作がに次々に発見され、大センセーショナルを巻き起こしたことに思いをよせます。この頃は勿論SNSもなく通信手段も限られ、センセーショナルは鉄道に乗って、各国各地の劇場やホールを駆け巡っていったことを思うと、ここにも歴史のロマンを感じます。

 

2020年01月10日