令和元年のコンサートつれづれ

 今年のボクの”コンサート通い”を振り返るとー最近の傾向でもあるがー『歌』のある音楽会が増えたように思います。つまりオペラという普遍的な音楽に、時代背景など設定を自由にーその時々の歌手や舞台演出にー一喜一憂するというースリルが、ニュースのように飛び込んできて、ピックアップする作業が増えたということなのかも知れません。

 最近ヨーロッパで話題の歌手が来日するとか…○○がカルメンを歌うとか…何年ぶりのいや何十年ぶりの、時には約100年後の復活上演とか…話題が、流行のように次々にやってきます。ボクの今年の収穫は、藤原歌劇団によるロッシーニの『ランスへの旅』…詳細は別の機会に譲りますー。新しい演出にドキドキ・ワクワクして、歳を重ねてきたことも手伝って、また土曜日のマチネなど…すこぶる心地よくしあわせを実感するということも・・・

 最近のお気に入りのオペラは『ドン・ジョバンニ』です。-あの騎士団長殺しーの、です。数年前の英国ロイヤルオペラの引っ越し公演で体験したそれが、ボクのオペラ鑑賞の価値観を一変しました。モノトーンでプロジェクト・マッピングをふんだんに使って、登場人物には蜂の巣のように小部屋が与えられ二層に、三層にパズルのように動かされ・・・摩訶不思議な舞台に圧倒されました。以来観るたびに…音楽とその時代の人々の世界観に、より深いものを感じるようになったのです。

 「すべての登場人物はもがき、あがき、懸命に生きているー200年の時を超えて。そのオペラは人間社会の普遍的な物語を伝えている。」

2019年12月28日